シリーズ 日本語教育学の新潮流

日本語教育学の新潮流

言語少数派の子どもの概念発達を促す教科学習支援 : 母語と日本語が融合したことばのやり取り

滑川恵理子 著

日本の学校に通う「日本語を母語としない」子どもたちに対する母語と日本語の両方を用いた教科学習支援の実践を通して、子どもたちの概念発達のプロセスを示す。日常生活から得た知識や体験を、授業で扱われる抽象概念に発展させることの重要性を説く。

日本語教育学の新潮流

日本語表現力と批判的思考力を育むアカデミック・ライティング教育 : 中国の大学の日本語専攻における対話を生かした卒業論文支援を例に

楊 秀娥 著

中国の大学の日本語専攻課程において行った卒論作成の支援活動をもとに、学習者の表現力と思考力を育む卒論支援を考察する実践研究。卒論作成のプロセスの中で学習者がどのような学びを得ているかという観点から、中国における日本語専攻教育への提言を行っている。

日本語教育学の新潮流

中国人日本語学習者の学習動機はどのように形成されるのか : M-GTAによる学習動機形成プロセスの構築を通して見る日本語学校での再履修という経験

中井好男 著

中国人日本語学習者の学習動機の形成プロセスを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)によって理論化する。また、教師が再履修者をどう捉えているかについても分析。両者を通し、日本語教師や日本語学校のあり方を考える。

日本語教育学の新潮流

ベトナム人日本語学習者の産出文章に見られる視点の表し方及びその指導法 : 学習者の〈気づき〉を重視する指導法を中心に

レ カムニュン 著

ベトナム人学習者の母語と日本語の視点の表し方の相違点を示したうえで、視点の習得と学習者の母語との関係を分析。どのように指導すれば視点の問題を解決できるか、その指導法を提案する。

日本語教育学の新潮流

「多文化グループワーク」による言語と文化の創造学習 : 知識科学の視点から見るアクティブ・ラーニング

李暁燕 著

知識科学の視点から、異なる言語・文化的背景を持つメンバーによるグループワークの授業を分析したもの。グループと個人、それぞれのレベルにおける知識変容と人間的成長を考察したうえで、多文化グループワークにおいて知識が創造されていく過程をモデル化する。

日本語教育学の新潮流

日本語教師の成長 : ライフストーリーからみる教育実践の立場の変化

飯野令子 著

5名の日本語教師のライフストーリーを横断的に分析し、教育環境の移動が教師の成長にどう関わっているかを考察。そして、新たな「教師の成長」の概念を提示することで、今後の日本語教師養成・研修の方向性を示す。

日本語教育学の新潮流

接触場面における二言語使用の可能性 : 多言語多文化キャンパスの構築に向けて

田崎敦子 著

日本人学生/教員と留学生の間で、日本語と英語のコードスイッチングがどのように行われているかを分析し、そのメカニズムを解明する。大学における英語使用が進む中で、その実態を明らかにした先駆的研究。

日本語教育学の新潮流

学習者の自己形成・自己実現を支援する日本語教育

寅丸真澄 著

日本語教室という場についての認識の変遷を示し、そこで必要とされる学びについて考察した上で、談話分析と相互行為分析の手法を用いて、教室設計・教室運営、および、学習者の認識の変容という視点から教室活動を分析。意味のある授業とは何かという問いを追究する。

日本語教育学の新潮流

「日本語を話す私」と自分らしさ : 韓国人留学生のライフストーリー

中山亜紀子 著

韓国人留学生のライフストーリーを分析し、感情、情動、葛藤を伴った第二言語習得/使用の体験を丁寧に描き出した上で、「自分らしさ」という視点から言語習得という営みを考えていく。

日本語教育学の新潮流

日本語教師の「葛藤」: 構造的拘束性と主体的調整のありよう

有田佳代子 著

日本語教師が抱える「葛藤」に焦点を当てた研究書である。教師の「葛藤」が、個人的な要因だけから生じるものではなく、社会構造的な拘束を受けて生じるものであることを訴えることで、教師の心理的負担の軽減、および、葛藤の解消を図るとともに、政治や社会制度の変革の契機ともする。