日本語教育学の新潮流

学習者の自己形成・自己実現を支援する日本語教育


シリーズ日本語教育学の新潮流 17
書名学習者の自己形成・自己実現を支援する日本語教育
編著者寅丸真澄 著
定価3600円+税
ISBN978-4-904595-87-9
発行日2017年2月28日刊行
その他A5判 上製 340頁

紹介文

本書はまず「意味のある授業とは何か」という問いから始まる。その問いに答えるために筆者は、まず日本語教室という場についての認識がどのように変遷してきたかを示し、現在の日本語教室において必要とされる学びを考察する。その上で、談話分析と相互行為分析の手法を用いて、筆者自身が関わった実践の教室活動を、教室設計・教室運営、および、学習者の認識の変容という視点から分析している。日本語教育を、学習者の人間性や人間形成を重視する「教育」という視点から見つめ直し、学習者の自己実現・自己形成を支援することばの学びを提案する意欲作。

目次

第1章 本書の目的と課題
 1.1 本書の目的
  1.1.1 日本語教室におけることばの学びとは何か
  1.1.2 日本語教室ではどのような実践が行われるべきか
 1.2 本書の課題
 1.3 本書の構成
 1.4 本書におけるデータ表記と記述

第2章 日本語教室という場
 2.1 教育としての日本語教育
  2.1.1 自律するための教育 :「模倣」か「変容」か
  2.1.2 自己形成と自己実現のための教育 : 意味世界の協働構築と〈自己〉〈他者〉〈コミュニティ〉の創造
 2.2 日本語教室という場
  2.2.1 日本語教室における変容的学習
  2.2.2 日本語教室におけることばの学び
   2.2.2.1 二重の課題を越えるための記号的意味世界と存在的意味世界の協働構築
   2.2.2.2 ことばの学びの場としての〈教室コミュニティ〉の創造
   2.2.2.3 紡がれる〈自己〉〈他者〉〈教室コミュニティ〉
 2.3 日本語教室観の歴史的変遷
  2.3.1 日本語教室観を検証する意義
  2.3.2 日本語教育理論と日本語教室観
   2.3.2.1 学習者の自己形成や自己実現を射程に入れた日本語教育理論
   2.3.2.2 『日本語教育』掲載の実践研究論文における日本語教室観の調査分析
  2.3.3 分析対象と分析方法
  2.3.4 分析結果
   2.3.4.1 3つの教室観の特徴と時代区分
   2.3.4.2 日本語教室観の歴史的変遷
   2.3.4.3 日本語教室観の変遷 :〈自己〉から〈他者〉〈教室コミュニティ〉 〈社会〉の 誕生へ
  2.3.5 相互行為というブラックボックス : 協働と対話概念の曖昧性
 2.4 日本語教室が目指すべきもの

第3章 教室設計と教師の役割
 3.1 教室活動を分析する意義
 3.2 教室設計と教室運営 
  3.2.1 教室活動の枠組み
  3.2.2 教室設計と教室運営における特徴
   3.2.2.1 教室設計における特徴 : 多声的な空間としての教室
   3.2.2.2 教室運営における特徴 : 相互行為の質の担保
  3.2.3 活動参加者
 3.3 教師の役割
  3.3.1 学習者の自己形成・自己実現を支援する教師の役割
  3.3.2 「教師の場」における教師の役割
   3.3.2.1 7つの「場」による枠組みの形成
   3.3.2.2 活動内容及び意義の提示と総括
   3.3.2.3 学習者に対する課題の提示
  3.3.3 「全体の場」における教師の役割
   3.3.3.1 手続き的な事柄についての問題解決
   3.3.3.2 活動理念に関わる意味構築
   3.3.3.3 教室活動の主要概念に関わる意味構築
 3.4 教室観の多様性と教師の役割の多面性

第4章 教室活動における相互行為
 4.1 教室活動の相互行為分析
 4.2 教室活動における相互行為の記号的分析
  4.2.1 教室活動の相互行為における「話題」の分析意義
  4.2.2 分析方法
  4.2.3 〈自己〉〈他者〉〈教室コミュニティ〉間で協働構築される話題の機能と様相
  4.2.3.1 意味構築の相互行為における話題の機能 : 話題の連鎖から
  4.2.3.2 話題の5つの機能
   4.2.3.3 意味構築の相互行為における話題の様相 : 話題の連関から
   4.2.3.4 テーマの専有と変奏 :「本当の自由」を求めて
 4.3 教室活動における相互行為の存在的分析
  4.3.1 教室活動の相互行為における「ことば」の分析意義
  4.3.2 分析方法
  4.3.3 日本語教室で構築される意味世界
   4.3.3.1 ことばの生成
   4.3.3.2 記号的意味の協働構築過程 : 開示、確認、調整、承認
   4.3.3.3 存在的意味の協働構築過程 : 〈私〉にとってXとは何か
  4.3.4 〈自己〉〈他者〉〈教室コミュニティ〉のことば
   4.3.4.1 〈自己〉内対話 :「価値観」の記号的意味から存在的意味へ
   4.3.4.2 〈自己〉から〈他者〉へ :「民主主義」の記号的意味と 存在的意味の対立から承認へ
   4.3.4.3 〈自己〉から〈教室〉へ :〈教室〉を結ぶ「狼」「おにぎり」
   4.3.4.4 〈自己〉から〈教室〉へ :〈教室〉を分かつ「悪魔化」
   4.3.4.5 〈教室〉を越えて : 「民主主義」から 「コカコーラ・ポリティックス」へ
  4.3.5 世界を意味づけることば、世界を立ち上げることば
 4.4 彩られる意味世界

第5章 変容する学習者と教室コミュニティ
 5.1 学習者の自己認識、他者認識、社会認識の変容
  5.1.1 学習者の自己認識、他者認識、社会認識の変容を分析する意義
  5.1.2 サシャの自己認識と他者認識の変容
   5.1.2.1 サシャの背景
   5.1.2.2 分析方法
   5.1.2.3 日本語学校
   5.1.2.4 総合日本語クラス(SC4)
   5.1.2.5 活動の「場」におけるサシャの参加度
   5.1.2.6 記号的意味の相互行為としての「情報伝達」
   5.1.2.7 存在的意味の相互行為としての「対話」
   5.1.2.8 相互構築的に変容する自己認識と他者認識
  5.1.3 ミンの社会認識と自己認識の変容
   5.1.3.1 ミンの背景
   5.1.3.2 分析方法
   5.1.3.3 ミンの社会認識の変容過程
   5.1.3.4 相互構築的に変容する自己認識と社会認識
 5.2 教室コミュニティの創造
  5.2.1 〈教室コミュニティ〉の創造を分析する意義
  5.2.2 〈教室コミュニティ〉の創造の帰着点としての相互自己評価
   5.2.2.1 評価活動の流れ
   5.2.2.2 「評価」の意味構築 : 評価とは何か
   5.2.2.3 評価方法の合意形成
   5.2.2.4 評価項目の合意形成
  5.2.3 創造される〈教室コミュニティ〉
 5.3 相互行為から自己形成・自己実現、コミュニティの創造へ

第6章 学習者の自己形成・自己実現を支援する日本語教育
 6.1 日本語教室における意味世界の協働構築とコミュニティの創造
 6.2 本書の結論
  6.2.1 日本語教室におけることばの学びとは何か
  6.2.2 日本語教室ではどのような実践が行われるべきか
 6.3 本書の意義と今後の課題
 6.4 日本語教室の可能性

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