日本語教育学の新潮流

中国人日本語学習者の学習動機はどのように形成されるのか : M-GTAによる学習動機形成プロセスの構築を通して見る日本語学校での再履修という経験


シリーズ日本語教育学の新潮流 22
書名中国人日本語学習者の学習動機はどのように形成されるのか
M-GTAによる学習動機形成プロセスの構築を通して見る日本語学校での再履修という経験
編著者中井好男 著
定価3,960円(税込)
ISBN978-4-86676-009-4
発行日2018年11月24日刊行
その他A5判 上製 304頁

紹介文

日本語学校には再履修という制度が存在する。学習者はなぜ再履修となり、また、それによってどのような影響を受けるのか。本書では、特に中国人日本語学習者に焦点を当て、彼らの学習動機の形成プロセスを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)によって理論化する。また、教師が再履修者をどう捉えているかについても分析。両者を通し、日本語教師や日本語学校のあり方を考える。なお、本書はM-GTAによる分析過程を非常に丹念に記述している。今後のM-GTAを用いた日本語教育研究の道標となるだろう。

目次

第1章 本研究の位置づけ
 1 はじめに
  1.1「教室の風景」
  1.2 本研究に至るまで
 2 外国人留学生の現状
  2.1 日本における留学生の受け入れに関する政策
  2.2 留学生10万人計画これまでの留学生の受け入れに関する政策
  2.3 留学生30万人計画に関する動向
  2.4 就学生を取り巻く状況
  2.5 中国人日本語学習者の多様化
 3 中国人日本語学習者に関する先行研究
  3.1 中国人就学生に関する先行研究とその視点
  3.2 新・新人類という視点からの質的研究
  3.3 中国人就学生に対する支援に関する研究
  3.4 第二言語教育における動機づけに関する研究
  3.5 日本語教育における動機づけに関する研究
 4 本研究の位置づけ

第2章 再履修者のインタビューデータを用いたM-GTAによる学習動機の分析
 1 本研究の方法論
  1.1 質的研究法
  1.2 本研究で質的研究法を用いる理由
  1.3 質的研究法の特徴
  1.4 質的研究法の信頼性と妥当性
  1.5 信頼性と妥当性の確保
  1.6 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ
 2 調査協力者と調査方法
  2.1 サンプリング
  2.2 本研究のフィールドと調査協力者について
  2.3 調査協力者
  2.4 インタビュー
 3 分析
  3.1 学習動機に関するカテゴリーの形成
  3.2 過渡期の概念とカテゴリー
  3.3 再履修期の概念とカテゴリー
  3.4 全過程に通じるカテゴリー
 4 構成された理論のストーリー
 5 理論の構成に関する考察
  5.1 自立心に関するカテゴリー
  5.2 学習の場の移行に関するカテゴリー
  5.3 両親からの期待に関するカテゴリー
  5.4 クラスメートとの関係に関するカテゴリー
  5.5 教師とのインタラクションに関するカテゴリー
  5.6 学習性無力感と原因帰属に関するカテゴリー

第3章 ケース・スタディによる再履修者の日本語学習の分析
 1 はじめに: 授業観察によるケース・スタディを行う目的
 2 方法論と調査協力者
  2.1 方法論
  2.2 調査協力者と分析方法
 3 分析結果 : 授業観察データによるケース内分析
  3.1 学習者瑩さんのケース
  3.2 学習者愛さんのケース
  3.3 学習者彦さんのケース
 4 考察 : ケース間分析
  4.1 再履修者の実態と教師が捉える再履修者
 5 第2章で得られた理論1との統合
  5.1 再履修期のカテゴリー群の再編
  5.2 過渡期のカテゴリー群と全過程に通じるカテゴリー群の再編
 6 M-GTAによるインタビューデータの分析
  6.1【日本語学習に関する不安から生じる学習動機の減退】
  6.2【両親の期待に対する不安から生じる学習動機の減退】
 7 M-GTAによって得られた理論1の再構築
  7.1【日本語学習に関する不安から生じる学習動機の減退】
  7.2【両親の期待による学習動機への影響】

第4章 教師のインタビューデータを用いたM-GTAによる教師の対応の分析
 1 はじめに: 教師のインタビューデータを分析する目的
 2 調査方法と分析方法
  2.1 調査方法と質問項目
  2.2 分析方法
 3 分析結果
  3.1〈再履修者へのネガティブな評価〉と[教師が取る対応](対応1)
  3.2〈つかみどころがない〉と[教師が取る対応](対応2)
  3.3[特に何もしない]
  3.4[再履修者をポジティブに捉えようとする]
  3.5[再履修者問題の原因帰属]
 4 理論のストーリー
 5 考察: 教師の対応と再履修者問題の原因帰属に関する考察
 6 理論2との比較と理論の再構築
  6.1[教師の再履修者像]の理論2への統合
  6.2[教師が取る対応]に関するカテゴリーの再編と理論2への統合
  6.3[特に何もしない]に関するカテゴリーの再編と理論2への統合
  6.4[再履修者問題の原因帰属]と[再履修者をポジティブに捉えようとする]の理論2への統合

第5章 考察
 1 これまでの分析結果について
 2 学習動機の変遷の理論
  2.1 過渡期のカテゴリー群について
  2.2 再履修期のカテゴリー群
  2.3 全過程に通じるカテゴリー群
 3 考察
  3.1 学習動機の変遷に関する複雑系理論
  3.2 動機づけ研究に求められるもの
 4 提言
  4.1 教師や日本語学校への提言
  4.2 教師への提言のまとめ
 5 今後の課題

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