書名 | 「可能性」としてのもう一つの日本: 「日韓歴史認識」の連帯を切り拓く手がかりとして |
編著者 | 羅義圭 著 |
定価 | 3,960円(税込) |
ISBN | 978-4-86676-032-2 |
発行日 | 2021年3月31日刊行 |
その他 | A5判 上製 330頁 |
紹介文
長い間、平行線をたどる「日韓歴史認識問題」。その解決の糸口を探り、江戸時代から現代にいたる日本の政治家・思想家が、朝鮮半島やアジアに対してどのようなまなざしを持っていたかを考察していく。彼らの中には「連帯」を探った者たちが存在し、日本が帝国主義とは異なる「小国主義」の道を歩む可能性があった。そして、彼らに共通するのは、他者と出会い、揺さぶられ、一旦自己を解体して、新たなアイデンティティを立ち上げるといったプロセスを経たことであった。これからの日本と韓国が、ともにこのプロセスを経て変化することを促し、新たな「連帯」の構築を目指す意欲的な一冊である。
目次
はしがき
序章 「わたし」と「歴史認識」
第一節 はじめに―研究動機
第二節 「私」と「靖国神社問題」「元慰安婦問題」
第三節 「元慰安婦問題」―「歴史認識」は今までどう論じられてきたのか
1 高橋哲哉―「ナショナリティ/日本」
2 上野千鶴子―「ジェンダー/日本」
3 徐京植―「エスニシティ/日本」
第四節 「わたし」自身の位置(=ポジショナリティ)―「歴史認識」の再構築
第五節 本書の構成
第一章 アジア主義―「連帯」か「侵略」か
はじめに
第一節 樽井藤吉の「大東合邦論」を中心に
第二節 岡倉天心の『東洋の理想』
第三節 新明正道の『東亜協同体の理想』
第四節 矢野仁一の『大東亜史の構想』
むすび
第二章 大国主義への序曲
はじめに
第一節 東アジアの秩序―「中華思想」
第二節 江戸時代における日朝関係
1 日朝関係の再開
2 幕府為政者から見た朝鮮観の二面性
3 新井白石と雨森芳州―日朝関係の展望
むすび
第三章 「外向きの抵抗」と「内向きの抵抗」のはざまで
はじめに
第一節 外向きの抵抗
1 国学
2 水戸学
3 儒学
第二節 内向きの抵抗
1 佐久間象山
2 横井小楠
第三節 朝鮮へのまなざし
1 吉田松陰の攘夷思想
2 「韓日連携」への夢―勝海舟
むすび
第四章 小国主義の立ち枯れ
はじめに
第一節 「力」の論理と「弱者」の論理
1 大久保利通の「力」の論理
2 西郷隆盛の「弱者」の論理
第二節 社会進化論と自由民権運動
1 社会進化論者としての加藤弘之
2 自由民権運動家としての植木枝盛
第三節 アジアへのまなざし
1 福沢諭吉―「アジアとの訣別」
2 中江兆民―「アジアとの連帯」
3 福沢諭吉と中江兆民―視点の差
むすび
第五章 日清戦争へのまなざし
はじめに
第一節 「時事新報」と「萬朝報」を通して
1 「文明」への道―「時事新報」
2 「正義」への道―「萬朝報」
第二節 日清戦争の位置づけ
1 伊藤博文の戦争観
2 山県有朋による「主権線と利益線」論の再考察
第三節 日清戦争の勝利とアジアへの蔑視
1 老大国・清国
2 小野蛮国・朝鮮
むすび
第六章 帝国主義のかなたへ
はじめに
第一節 国権論と反戦論
1 自由民権主義者の国権論
2 反戦論者の幸徳秋水
第二節 戦争反対者の谷干城
第三節 陰画としての小国日本
1 小国主義者の三浦銕太郎
2 民本主義者の吉野作造
むすび
終章 「日韓歴史認識」に架橋することは可能なのか
第一節 「可能性」としてのもう一つの日本とは
第二節 「主体性」とは?
第三節 「連帯」へ向けて
第四節 「日韓歴史認識」に架橋すること
第五節 まとめ
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