シリーズ | 日本語教育学の新潮流 23 |
書名 | 日本語表現力と批判的思考力を育むアカデミック・ライティング教育 中国の大学の日本語専攻における対話を生かした卒業論文支援を例に |
編著者 | 楊 秀娥 著 |
定価 | 3,960円(税込) |
ISBN | 978-4-86676-011-7 |
発行日 | 2018年11月10日刊行 |
その他 | A5判 上製 352頁 |
紹介文
中国の大学の日本語専攻課程において行った卒論作成の支援活動をもとに、学習者の表現力と思考力を育む卒論支援を考察する実践研究。卒論作成のプロセスの中で学習者がどのような学びを得ているかという観点から、中国における日本語専攻教育への提言を行っている。中国以外の国・地域における日本語専攻教育への示唆はもちろん、アカデミック・ライティング教育の実践例としても非常に興味深いものとなっている。
目次
第1章 序論
1 中国の大学日本語専攻教育における卒業論文の位置付け
2 問題の所在
2.1 日本語専攻生の思考力育成における問題点
2.2 日本語専攻教育における卒業論文をめぐる問題点
3 本研究の内容と目的
3.1 本研究の内容
3.2 本研究の目的
4 本研究の枠組み
5 本研究の構成
第2章 中国の大学日本語専攻教育の実情
1 中国における日本語教育の歴史的変遷
1.1 日本語教育の歴史的区分
1.2 日本語専攻教育の歴史的区分
2 現行の中国の大学日本語専攻教育の問題点
2.1 教育目標
2.1.1 教育大綱における言説
2.1.2 大学のカリキュラム設定
2.2 教育内容と方法
2.2.1 教育大綱における言説
2.2.2「精読」授業
2.2.3 作文授業
2.2.4 小まとめ
2.3 複合型人材育成パターン
2.3.1 複合型人材育成パターンの発展
2.3.2 複合型人材育成パターンに対する批判
2.3.3 小まとめ
2.4 本節のまとめ
3 本章のまとめ
第3章 中国の大学の日本語専攻教育における 卒業論文指導と卒業論文作成の現状
1 卒業論文指導と卒業論文作成についての教育政策と先行研究
1.1 教育大綱における卒業論文作成に関する教育政策
1.2 教師の卒論指導に関する先行研究
1.2.1 教師の卒業論文指導の目標設定
1.2.2 教師の卒業論文指導の問題点
1.2.3 教師の卒業論文指導の改革事例
1.3 日本語専攻生の卒業論文及び卒業論文作成に関する先行研究
1.3.1 日本語専攻生の卒業論文作成に対する意味付け
1.3.2 日本語専攻生の卒業論文及び卒業論文作成の問題点
1.4 本節のまとめ
2 日本語専攻生の卒業論文作成の現状についての調査
2.1 調査の概要と分析方法
2.1.1 調査の概要
2.1.2 分析方法
2.2 分析結果① : 学習者の卒業論文作成に対する意味付け
2.2.1 意味付けの全体像
2.2.2 積極的な意味付け
2.3 分析結果② : 卒業論文作成のプロセスにおけるテーマ設定
2.3.1 テーマの変化とテーマに対する学習者の評価
2.3.2 学習者のテーマ設定に影響した要素
2.3.3「良いテーマとは」についての考え
2.4 分析結果③ : 学習者が捉える卒業論文作成の問題点
2.5 本節のまとめと卒業論文支援に対する示唆
3 本章のまとめ
第4章 卒業論文支援を支える理論と実践
1 対立する教育理論
1.1 客観主義の教育理論と構成主義の教育理論
1.2「銀行型教育」と「課題提起教育」
1.3 日本語専攻教育への反省及び卒業論文支援の設計への示唆
2 批判的思考とその教育
2.1 批判的思考の概念
2.2 批判的思考のプロセス
2.3 批判的思考の教育
2.4 日本語専攻教育の反省及び卒業論文支援の設計への示唆
3 卒業論文作成に関連する日本語教育
3.1 日本語教育のパラダイム転換
3.2 日本語教育におけるアカデミック・ライティング教育
3.3 日本語教育における対話的教育実践
3.3.1 ピア・ラーニング
3.3.2 総合活動型日本語教育
3.3.3 批判的思考を育成する日本語教育実践
3.4 中国人日本語学習者を対象にするビリーフ調査とピア・ラーニング実践
3.5 卒業論文支援の設計への示唆
4 本章のまとめ
第5章 卒業論文作成の支援活動の設計と実施
1 卒業論文作成の支援活動の設計
1.1 これまで見えてきた点
1.2 卒業論文作成の支援活動の設計ポイント
1.2.1 卒業論文の位置付け
1.2.2 支援活動の目標設定
1.2.3 支援活動の実践方法
1.2.4 支援活動における教師の役割
2 卒業論文作成の支援活動の実施
2.1 支援活動の実施フィールド
2.2 支援活動の参加者
2.3 支援活動の詳細
2.3.1 支援活動のスケジュール
2.3.2 事前課題と教師のフィードバック
2.3.3 支援活動を構成する各活動
2.4 学習者が完成させた卒業論文の概要
2.5 教室内の話し合いにおける特徴
2.6 支援活動に関するデータ
2.7 研究倫理への配慮
3 本章のまとめ
第6章 日本語学習者の卒業論文作成のプロセス
1 分析対象の選択
2 学習者の「読みの検討」活動での学び
2.1「読みの検討」活動を設計する背景
2.2 課題論文とタスクシート
2.3 分析データ
2.4 分析結果① : 論文スキーマの形成・拡大
2.4.1 論文の構成
2.4.2 論文の言語使用
2.5 分析結果②:批判的な読みの学び
2.5.1 学習者が注目した点
2.5.2 学習者の自己評価
2.6 本節のまとめ
3 学習者のテーマ調整のプロセス
3.1 テーマについての先行研究
3.2 用語の定義と分析方法
3.2.1 用語の定義
3.2.2 分析方法
3.2.3 テーマ調整の分析例
3.3 テーマ調整のプロセスについての分析結果
3.3.1 テーマ調整の様相
3.3.2 テーマ調整の規範及び規範が顕在化・生成される要因
3.4 テーマ調整のプロセスの具体例
3.4.1 学習者Liのテーマ調整のプロセス
3.4.2 学習者Rのテーマ調整のプロセス
3.5 テーマ調整に関する考察
3.5.1「調整」、「規範」及び「要因」に関する特徴
3.5.2 テーマ調整プロセス
3.6 本節のまとめ
4 思考力と表現力から捉える学習者の学び
4.1「読みの検討」活動から見る学習者の学び
4.2 テーマ調整プロセスから見る学習者の学び
5 本章のまとめ
第7章 日本語学習者の卒業論文作成に対する意味付け
1 卒業論文作成の意味を考える2週目の様子
1.1 配布資料を読んだ学習者の考え
1.2 卒業論文の意味をめぐる教室内での話し合い
2 学習者が行った卒業論文作成に対する意味付け
3 学習者の卒業論文作成に対する意味付けの変容プロセス
3.1 分析方法
3.2 学習者Liが意味付けを深化・生成するプロセス
3.3 学習者Wが意味付けを深化するプロセス
4 卒業論文作成が卒業1年後の学習者に与える影響
4.1 調査と分析の概要
4.2 分析結果
5 本章のまとめと考察
5.1 本章のまとめ
5.2 卒業論文作成に対する学習者の意味付け
5.3 卒業論文作成に対する意味付けの変容プロセス
第8章 総合考察と今後の日本語専攻教育における卒業論文支援、今後の日本語専攻教育に向けた提言
1 卒業論文作成と卒業論文支援についての総合考察
1.1 卒業論文作成の捉え直し
1.1.1 学習者の学びについての整理
1.1.2「思考と表現の経験の構築」としての卒業論文作成
1.1.3 卒業論文作成における経験の連続性と相互作用
1.2 支援活動の意味
1.2.1 学習者が思考と表現を継続して経験する場
1.2.2 教室外における学習者の研究実践を連動させる場
1.2.3 学習者のメタ的な認識を支援する場
1.2.4 教師と学習者が対等に対話する場
1.2.5 学習者の仲間と対話する意識が芽生える場
1.2.6 教師と学習者が学びあう場
1.3 本節のまとめ
2 今後の卒業論文支援に向けた提言
2.1 日本語専攻教育に卒業論文は必要なのか
2.2 卒業論文の位置付けの再認識
2.3 支援体制の確立
2.4 支援目標の再考
2.5 支援方法の探索
2.6 本節のまとめ
3 今後の日本語専攻教育に向けた提言
3.1 日本語専攻教育に対する反省
3.1.1 学習者の思考と表現の経験が構築されない日本語専攻教育
3.1.2 外国語専攻教育における「外国語=道具」論の影響
3.2 日本語専攻教育の位置付けの再確認
3.3 カリキュラムの改革
3.3.1 ゼミの新設
3.3.2 AW授業の新設
3.3.3 既存科目の見直し
3.4 教師への要請と教師に対する支援
3.4.1 教師による教育観の自覚と更新
3.4.2 教師研修の展開
3.5 本節のまとめ
4 本章のまとめ
第9章 結論
1 本研究のまとめ
1.1 問題の所在と研究課題の設定(第1章)
1.2 卒業論文作成の支援活動の設計と実施(第2章~第5章)
1.3 学習者の学びのプロセス(第6章、第7章)
1.4 卒業論文作成と卒業論文支援についての総合考察(第8章第1節)
1.5 今後の卒業論文支援、日本語専攻教育への提言
1.5.1 今後の卒業論文支援への提言(第8章第2節)
1.5.2 今後の日本語専攻教育への提言(第8章第3節)
2 本研究の意義
3 今後の課題
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