日本語教育学の新潮流

「多文化グループワーク」による言語と文化の創造学習 : 知識科学の視点から見るアクティブ・ラーニング


シリーズ日本語教育学の新潮流 20
書名「多文化グループワーク」による言語と文化の創造学習
知識科学の視点から見るアクティブ・ラーニング
編著者李暁燕 著
定価3,960円(税込)
ISBN978-4-904595-96-1
発行日2017年12月28日刊行
その他A5判 上製 234頁

紹介文

本書は、知識科学の視点から、異なる言語・文化的背景を持つメンバーによるグループワークの授業を分析したものである。グループと個人、それぞれのレベルにおける知識変容と人間的成長を考察したうえで、多文化グループワークにおいて知識が創造されていく過程をモデル化。真に創造的な学習につなげるための理論と実践が描かれる。

目次

第1章 第二言語文化習得における形式知と暗黙知
 1.1 大事なことは本や辞書に書かれていない
 1.2 言語文化は生きている知識
 1.3 第二言語習得と母語獲得の相違点
 1.4 学習者の変容につながる第二言語文化の学習
 1.5 第二言語文化の暗黙知の習得
 1.6 本章のまとめ

第2章 第二言語文化習得におけるアクティブ・ラーニングの諸相
 2.1 エンゲストロームの活動理論
 2.2 活動型教育の様々な方法
 2.3 細川の総合活動型教育
 2.4 グループワークの意味
 2.5 教師とファシリテーターの役割
 2.6 本章のまとめ

第3章 研究方法とデータの構成およびフィールドの概況
 3.1 研究方法とデータの構成
 3.2 フィールドの概況
  3.2.1 Aグループの活動概要
  3.2.2 Bグループの活動概要
  3.2.3 Cグループの活動概要
 3.3 本章のまとめ

第4章 活動型教育における多文化グループワークのプロセスの解析
 4.1 Aグループのグループワークの分析
  4.1.1 自分のテーマを見出す :「表現」・「共有」の場による文化的背景・グループ内役割に対する認識の向上
  4.1.2 インタビュー :「対話・表現」による意見の「統合化」
  4.1.3 新聞作成 :「統合」と「内省」を中心とする考えの構築
  4.1.4 Aグループのグループワークのまとめ
 4.2 Bグループのグループワークの分析
  4.2.1 グループ活動の方針と形式を見出す :「表現」・「共有」の場による文化的背景の衝突から
  4.2.2 インタビューおよび雑誌の構成・評価方法の確定 :「共有」と「統合」による意見の統合化
  4.2.3 雑誌作成 :「統合」と「内省」を中心とする考えの構築
  4.2.4 Bグループのグループワークのまとめ
 4.3 Cグループのグループワークの分析
  4.3.1 グループのキーワードを見出す :「表現」・「共有」・
   「統合」の場における異文化に根付く共通認識の統合
  4.3.2 劇およびそのまとめ :「表現」、「共有」による意見の「統合化」
  4.3.3 Cグループのグループワークのまとめ
 4.4 本章のまとめ

第5章 多文化グループワークにおける言語的知識と文化的知識の変容
 5.1 Aグループメンバーの言語的知識と文化的知識の変容
 5.2 Bグループメンバーの言語的知識と文化的知識の変容
 5.3 Cグループのメンバーの言語的知識と文化的知識の変容
 5.4 本章のまとめ : 多文化グループワークにおける言語的知識と文化的知識の変容についての考察

第6章 言語・文化を統合的・主体的に学ぶ多文化グループワーク : 考察
 6.1「考えるための日本語」クラスにおけるグループワーク
 6.2「考えるための日本語」クラスにおける言語的知識と文化的知識の変容
 6.3 知識変容を導く受講生の特性の分析
 6.4 ファシリテーターと教師の役割
 6.5 本章のまとめ

第7章 多文化グループワークのASCIモデルと実践的モデル
 7.1 主要な発見事項
  7.1.1 SRQ1の答え:多文化グループワークにおける「表現・共有・統合・内省」のスパイラルによる学習
  7.1.2 SRQ2の答え:多文化グループワークにおいて、メンバーは言語的・文化的知識が変容し、セルフ・ナレッジが豊かになった
  7.1.3 SRQ3の答え:ファシリテーターと教師はナレッジリーダーとしてグループワークを仕掛けた
  7.1.4 MRQの答え:早稲田大学活動型教育において、多文化グループワークは「表現・共有・統合・内省」のスパライルで行われた
 7.2 理論的含意:多文化グループワークのASCIモデル
 7.3 実践的含意:多文化グループワークによるクリエイティブ・ラーニングの実践的モデル
 7.4 ASCIモデルとSECIモデルの差異
 7.5 本章のまとめ

第8章 多文化グループワークの現在とこれから : 九州大学での教育実践に基づいて
 8.1 多文化グループワークによるグローバル人材の育成の可能性
  8.1.1 グローバル人材の育成は英語力の向上のみでは達成されない
 8.2 九州大学基幹教育の事例研究
  8.2.1 事例研究の概要
  8.2.2 Class Shareクラスにおけるメンバーの自己成長
  8.2.3 留学生と日本人学生の自己成長についての考察
 8.3 教育実践から活動型教育の問題点および存在条件を見直す
 8.4 本章のまとめ

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