日本語教育学の新潮流

教師の主体性と日本語教育


シリーズ日本語教育学の新潮流 29
書名教師の主体性と日本語教育
編著者牛窪隆太 著
定価3,960円(税込)
ISBN978-4-86676-037-7
発行日2021年12月28日刊行
その他A5判 上製 344頁

紹介文

本書は、「教師の主体性」をテーマに掲げ、これまで日本語教師に求められてきた「教師としてのあり方」を「日本語教師性」の問題として提起するものである。教育学、社会学、哲学など幅広い先行研究を渉猟し、日本語教師をめぐる拘束性について「制度論」「主体論」をもとに議論を展開。内容分析、新人教師へのインタビューの質的分析、フィールド調査を踏まえて、「同僚性」構築における「逸脱する主体性」を主張し、社会に新たな価値を生み出す日本語教師のあり方を提案する。

目次

第1章 問題の所在と研究の目的
1.1 研究の背景
 1.1.1 自身の現場経験から
 1.1.2 日本語教育を取り巻く環境の変化
 1.1.3 社会を構想する教師とその連繋
1.2 先行研究
 1.2.1 日本語教師の成長論
 1.2.2 教師の成長論から「交渉」へ
 1.2.3 日本語教師の葛藤と主体性への着目
1.3 問いの設定と本書の射程
1.4 本書の構成

第2章 日本語教師性を構築する制度と主体
2.1 日本語教育において制約の拘束性をどうとらえるか
2.2 日本語教師がもつ倫理・観念と拘束性
2.3 日本語教育における自明で強固な「対応規則」
2.4 服従する日本語教師の主体性
2.5 日本語教師の職業的良心
2.6 応じる主体性/逸脱する主体性という問題
2.7 「制度的主体」としての日本語教師
2.8 日本語教師の自己認識と言語観・言語教育観
2.9 まとめ

第3章 日本語教師性を構築する「語彙」の研究
3.1 本章の位置づけ
3.2 1980年代に日本語教育が迎えた転機
3.3 教育実践の記述への注目
3.4 学会誌『日本語教育』の内容分析という方法
3.5 分析Ⅰ―日本語教育実践の記述における「主体性」の分析
 3.5.1 分析手順
 3.5.2 分析結果
 3.5.3 考察
  ⅰ 1974年~1984年(教師の指導によって達成される主体性)
  ⅱ 1985年~1998年(受動性批判~主体的参加と学習)
  ⅲ 1985年~1998年(CAを背景とした主体性の攻防と文化における主体性)
  ⅳ 1999年~2000年(言語行為をめぐる教師の主体性の復権)
 3.5.4 日本語教育実践において「主体性」が意味してきたこと
3.6 分析Ⅱ―「学習者ニーズ」の分析
 3.6.1 分析手順
 3.6.2 分析結果―記述の全体推移と学習者数
 3.6.3 教育実践をめぐるニーズの質的検討
 3.6.4 考察
  ⅰ 実践の指針としてのニーズ(1、2、3)
  ⅱ 指針として強調されるニーズ(5、6、7)
  ⅲ 実践の目的に掲げられるニーズ(4、8、17)
  ⅳ 判断の根拠としてのニーズ(15、16、18)
  ⅴ 教育効果としてのニーズ(10、16)
 3.6.5 教育実践の記述における「学習者ニーズ」
3.7 二つの語彙研究から見えてくること

第4章 新人教師を日本語教師にするもの
4.1 本章の位置づけと枠組み
4.2 新人教師の規定
4.3 「言語教育観」「教育ビリーフ」「信念」
4.4 分析
 4.4.1 日本語教師研究の展開
 4.4.2 ビリーフ研究の展開
 4.4.3 教育研究におけるナラティブアプローチの意味
4.5 方法論
 4.5.1 分析手順
 4.5.2 協力者
 4.5.3 研究倫理
 4.5.4 3名の事例の概要とその位置づけ
4.6 教師―研究者としての動機
4.7 大田さんの場合
 4.7.1 実践における大田さんの教育ビリーフと教授行為(2011年2月の実践から)
 〔場面1〕教室のさわがしさの裏にあるもの
 〔場面2〕即興的な展開と教材の位置づけ
 4.7.2 経験による自信と「かめる」という実感
 4.7.3 「もめごと」と自信の揺らぎ
 4.7.4 大田さんの事例からわかること

4.8 森田さんの場合
 4.8.1 実践における森田さんの教育ビリーフと教授行為(2011年2月の実践から)
 〔場面1〕「書く」授業スタイルの背景にあるもの
 〔場面2〕学生の声の引き受けの背景にあるもの
 4.8.2 実践の中でスタイルを作っていった背景
 4.8.3 異なる現場を知ることの意味
 4.8.4 ネットワークをつなげていくという役割意識の背景にあるもの
 4.8.5 森田さんの事例からわかること
4.9 川島さんの場合
 4.9.1 実践における川島さんの教育ビリーフと教授行為(2012年3月の実践から)
 〔場面1〕ルーティン化されたドリルの背景にあるもの
 〔場面2〕パターンを確実に見せる授業スタイルの背景にあるもの
 4.9.2 同僚関係における参加の意味
 4.9.3 「意見をもつと孤独になる」
 4.9.4 日本語教師を辞めるという決断
 4.9.5 川島さんの事例からわかること
4.10 分析1からわかること
4.11 分析2
 4.11.1 分析2の位置づけ
 4.11.2 分析方法
 4.11.3 〈概念〉と[サブカテゴリー]の生成例
4.12 結果と考察
 4.12.1 教師たちがおかれた環境
 4.12.2 求められる教師性
 4.12.3 方法の再生とこういうものだという認識
 4.12.4 そうじゃなくてもいいという気づき
4.13 分析 からわかること
4.14 まとめ
 1)個体主義性と同調性
 2)教師間の経験主義的関係
 3)言語教育観の無効化と教授技術の本質化
4.15 問いの再掲と再考

第5章 「同僚性」から生み出される新たな日本語教師性へ
5.1 本章の位置づけ
5.2 新たな教師性の探求―「読み会」実践の検討から
 5.2.1 私がおかれた状況
 5.2.2 「読み会」のあらまし
5.3 先行研究
5.4 「あなたはだあれ」という問いをめぐって
 5.4.1 フォーカス・グループ・インタビュー
 5.4.2 結果と考察
5.5 2学期目の活動方針をめぐる話し合い
5.6 「読み会」の構造分析
 5.6.1 分析枠組み
 5.6.2 分析方法
 5.6.3 分析結果Ⅰ、Ⅱ
 5.6.4 分析結果Ⅲ
  展開例1 実践の言語活動としての意味(データ①より)
  展開例2 方法の裏にある教師の思い(データ①より)
  展開例3 現場における教師の迷い(データ②より)
  展開例4 異なる授業観/言語観との接触(データ②より)
5.7 話し合いの談話例から見えてくること
5.8 「あなたはだあれ」という問いが示唆するもの
5.9 再び、日本語教育における「同僚性」へ
5.10 逸脱する「共犯者」としての「同僚性」
5.11 「同僚性」の編み直しと逸脱し続ける主体性

第6章 結論 「教師主体」の日本語教育の構想に向けて
6.1 本書で明らかにしたこと
6.2 「目の前の学生に必要な日本語を教える」日本語教育批判
6.3 日本語教育における確実性の問題
6.4 日本語教育において不確実性を認める意味
6.5 確実な言語観としての言語道具論と日本語教師という職業
6.6 「教師主体」の日本語教育の構想に向けて
6.7 今後の課題と展望

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